田んぼ鏡像認知

1ヶ月に1回のペースって、ゆったりしてるような、はやいような、だ。人生残り40年あるとしたら、あと480ヶ月、多いような、少ないような、だ。ふむ...。

ハワイ報知の5月の記事を転載します。

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田んぼ鏡像認知




田植えが終わった直後の田んぼは鏡のようだ。水面が光を反射して鏡のように景色を写すだけではなく、人の心を写すという点でも鏡のようだ。

稲の苗やその隙間を泳ぐオタマジャクシ、新しい命はこれから夏に向けて、ものすごい速さで成長していく。これから始まる劇的な成長の予感は、成長や変化への期待や希望にも、取り残されてしまいそうな不安や焦りにもつながる。行儀よく整列する姿は、整然とした心地よい気分にも、不自由で窮屈な気分にもさせる。繰り返される一年周期のリズムは、安心にも退屈にも感じることができる。  

田んぼの風景は、ほとんど全自動で心を動かしてくるけど、田んぼは自らの姿に何を感じて欲しいか説明しないし、というか、おそらく田んぼは何も考えていないので、田んぼの風景に何を感じるかは、完全にこちら側の問題だ。田んぼによって心が動いているのではなくて、動いている心が鏡のような田んぼに写っているだけなのではないか。  

田んぼが心を写す鏡だとすると、田んぼを見てうっとりしたり感傷にふけったりする姿は、鏡に写った自分の姿に向かって威嚇する犬に似て、間抜けで微笑ましい。今日の田んぼは、暖かい風に吹かれて間抜けにゆらゆら揺れている。

ハワイ報知 2015年5月5日10面

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