佐藤くんの話

今まであまりブログやTwitterに書いたことがないが、実はサウナが好き。お正月の不摂生から脱出すべく昼間からサウナに行った。国道沿いのいわゆるスーパー銭湯だ。地元なので小中高生の頃の同級生に出会うことは珍しくなく、この日は高校の同級生と思われる顔を湯気の向こうに見つけた。彼の名前を仮に佐藤くんとする。

 高校生の頃の佐藤くんは、休み時間も数学の話ばっかりしてるような数学オタク。おちゃめなところもあってみんなに好かれてるけど、分厚い眼鏡をかけてて、寸足らずのズボンをはいてて、女子にモテる感じではないけど、本人も女の子より数学の方に興味がありそう、そんな男子。高校卒業以来会ってないので十数年ぶりの再会だ。 

サウナで同級生に会った場合、特に親しい友人でもなければ声をかけないし、久しぶりの再会がお互い全裸なのもちょっと気が引けるので、いつもは気づかないふりをして視線を合わすこともしない。この佐藤くんも「特に親しい友人」ではなく、いつものように気づかないふりをしていたけれど、なぜかふと懐かしい気持ちになってしまって声をかけたくなった。

 湯船につかる佐藤くんに背後から近づいて隣に座って、「佐藤くん?」と声を出す直前に横顔を至近距離で見て、これは別人なんじゃないかという思いが頭をよぎって声を飲み込む。湯船の反対側に移動して正面から顔を見てみると明らかに別人。佐藤くんではないし、先ほど湯気越しに見た佐藤くんと思しき人ともまた違う人。お風呂の中を見回すもそれらしき人はおらず、ちょっとがっかりしてお風呂を出る。 

服を着て銭湯の建物の外に出て、駐車場を横切って車に向かう途中、川の向こうの空き地に佐藤君を見つけた。空き地には、小さな古いバスが止まっていて、その手前に佐藤くんを含む十人ほどのグループが焚き火を囲んで輪になってフォークダンスを踊っている。十人は男女がほぼ半分ずつで、女性はなぜか白人の少女ばかり。男性の顔を見ると、そのほとんどが知っている顔で、小中高生の頃の同級生。みな十年以上会っていない同級生で、卒業後に婦女暴行罪で逮捕され収監されていたという噂のAくん、いじめられっ子だったBくん、お父さんの会社が倒産して引っ越していったCくん、お母さんが自宅で自殺しているところを目撃してから学校に来なくなったDくん、その後の様子が気になっていて会いたい同級生たちが国道沿いの空き地で焚き火をかこんで白人の少女とフォークダンスをしている。 

状況が飲み込めずに混乱しつつも、佐藤くんに一度声をかけようを思って肩透かしされているのでどうしても声をかけたい気持ちになっていること、他のメンバーの濃厚さ、そのまま見なかったことにはできない異様な状況、僕は迷わず空き地に向かって歩き始めていた。 

フォークダンスの輪に近づき、一番近くにいたDくんに声をかける。「おぉ!ひさしぶり~!」などと一通りの挨拶。ここにいる全員に聞きたいことは山のようにあるけど、まずは佐藤くんと話そうと目をやると、佐藤くんはダンスの輪から一人離れ、止めてあるバスに乗り込み携帯電話で誰かと話している。

仕方なく2番目に近い場所のCくんと話す。Cくんはなぜか怯えた様子で、バスの中の佐藤くんの様子を気にしながら、話を終わらせよう終わらせようとする。そうこうするうちに佐藤くんがバスから降りてきた。手を上げて「久しぶり!」と大きな声で呼びかけるも、佐藤くんは無表情のまま黙って歩いてくる。それまで気づかなかったけど、そこにいる白人の少女たちはみな体調が悪そうで、一様に怯えた表情をしている。

不気味な雰囲気、歓迎されていない雰囲気、早めにこの場から立ち去ったほうがいいのかな、などと思い始めた時、Bくんが走り寄ってきて、自分の手の平を僕に見せ、その手の平に油性ペンで「殺されるよ」と書く。意味がわからず混乱してもおかしくない状況なのに、どういうわけか僕はすんなりと納得して、これは殺されようとしている、逃げないといけない、と思いフォークダンスが行われた輪から遠ざかるように走りだす。 

すると前方から、1メートルほどある大きなナイフを持った顔の半分がつぶれた少年がこちらに向かって走ってくる。佐藤くんから電話で連絡を受け、僕を殺しに来た少年のようだ。少年から逃げなくてはと走りだすが、川に入って川を横切るしか逃げる方向が残されていない。川が護岸工事がされていて、地面から水面までは2メートル以上ありそう。水の深さはよく分からない。大きなナイフを持った少年がそこまで近づいているので仕方なく飛び降りてみる。

100131

 という夢を見た。2012年に入ってから悪夢しか見てない。。。

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