巨人と壁とKindle
上の子が字が読めるようになってきたので、サンタさんからのプレゼントという体で、AmazonのKindleを手に入れた(正確には子どもが手に入れたKindleを借りた)。
仏教寺院におけるクリスマスプレゼントとか、商業化された宗教行事、興味深い話題ではあるけれど、それはさておき、さっそく「進撃の巨人(Kindle版)」を大人買いして、子ども名義のAmazonアカウントに入れて読んでみた。おもしろい。Kindleも素晴らしい。というわけで、Kindleと進撃の巨人に関する雑感のメモ。
Kindleは、薄さや軽さ、バッテリーの持ち具合、書籍購入の簡単さ、もう完璧で、電子インクのディスプレイもすごくて、明るくても暗くてもよく見えて感動する。特に真っ暗な状態で読むと、視界に入るのはうっすら光る紙面だけ、みたいな状態になってすごくいい。あとは、電子書籍の充実と低価格化だけど、音楽がCDからネット配信に移ったような早さでは変化しないのかな、どうかな。
あと、素敵(かどうか微妙だけど)なのは、
そう考えると、手に入れた権利が大きくなればなるほど、できることが増える、自由になる部分が増える、という気がするけど、これは一面では正しいけど、逆に、その権利を与える者につぶれてもらっては困るようになるので、より深く権威のシステムの維持を願うようになって、従属していって、自由を奪われていく、ということにもなるんだろうなぁ、と思う。だから、屁理屈だとは思いつつ、気分の問題でしかないのだけど、シロシベ・リトリートの不動産は法人名義、Kindleは息子名義にして、「僕のじゃないから」という自由への逃げ道を残してる(いったい何の話だ...)。
さて、「進撃の巨人」だけど、とても流行っているようなので説明不要かもしれないけど、2009年から連載が始まった諫山創の漫画で(諫山創は86年生まれの27歳…。嫉妬するなぁ)、設定は、
巨人が人間を捕食するシーンはかなりグロいのだけど、そのグロさ以前に、「同じ形で大きい」という事自体がとっても気持ち悪い。一昨年に見たロン・ミュエク(Ron Mueck)の作品を思い出す。
巨大な壁に囲まれた空間で暮らす人々、という設定が、現代社会の閉塞感を見事に反映してて、「巨人」や「壁」が何を隠喩するのか、想像をかきたてられるとてもおもしろい漫画だ。
ちょっとググってみると、読者によっていろんな読み方があって、巨人はグローバル資本主義社会の巨大企業のメタファーだ、壁は格差社会の階層間にある壁の象徴だ、巨人は米国の隠喩だ、巨人は環境汚染や核兵器といった人間のコントロールを超えてしまった人工物の比喩だ、などなど、確かにそう読める。
作者は本人のブログで、
で、僕にはどう読めたかというと、「巨人」は心の暗部、いつも目を背けている自分の中の無知、愚鈍、貪欲、邪悪、不安、そういう心の奥底にしまって蓋をして見ないようにしている巨大なドロドロした感情の隠喩。そして「壁」はそのドロドロを隠している蓋のように思える。今12巻まで読んでて、これから巨人や壁の謎が解かれていくのだけど、続きを読むのが本当に楽しみ。
仏教寺院におけるクリスマスプレゼントとか、商業化された宗教行事、興味深い話題ではあるけれど、それはさておき、さっそく「進撃の巨人(Kindle版)」を大人買いして、子ども名義のAmazonアカウントに入れて読んでみた。おもしろい。Kindleも素晴らしい。というわけで、Kindleと進撃の巨人に関する雑感のメモ。
Kindleは、薄さや軽さ、バッテリーの持ち具合、書籍購入の簡単さ、もう完璧で、電子インクのディスプレイもすごくて、明るくても暗くてもよく見えて感動する。特に真っ暗な状態で読むと、視界に入るのはうっすら光る紙面だけ、みたいな状態になってすごくいい。あとは、電子書籍の充実と低価格化だけど、音楽がCDからネット配信に移ったような早さでは変化しないのかな、どうかな。
あと、素敵(かどうか微妙だけど)なのは、
電子書籍の読者が購入しているのは、書籍タイトルのデータ自体ではなく、その利用を認めるライセンスにすぎない。(2012.10.25「Kindleで購入した電子書籍は、実はユーザーのものではない」Wired.jp)というのがいい。「所有」はずっと気になってる言葉なのだけど、データを買っているのはなくて、データへのアクセス権を買う、というところがとても現代的。と思ったけど、「土地」もそうか。土地の場合は、一応は「所有権」という名前になってるけど、実際のところ地球の一部を人間が「所有」なんてできるわけはないので、アクセス権を買ってるのと同じだ。で、誰がその権利を付与するのか、というと、Kindle書籍の場合はAmazonで、土地の場合は国家、ということになるのかな。
そう考えると、手に入れた権利が大きくなればなるほど、できることが増える、自由になる部分が増える、という気がするけど、これは一面では正しいけど、逆に、その権利を与える者につぶれてもらっては困るようになるので、より深く権威のシステムの維持を願うようになって、従属していって、自由を奪われていく、ということにもなるんだろうなぁ、と思う。だから、屁理屈だとは思いつつ、気分の問題でしかないのだけど、シロシベ・リトリートの不動産は法人名義、Kindleは息子名義にして、「僕のじゃないから」という自由への逃げ道を残してる(いったい何の話だ...)。
さて、「進撃の巨人」だけど、とても流行っているようなので説明不要かもしれないけど、2009年から連載が始まった諫山創の漫画で(諫山創は86年生まれの27歳…。嫉妬するなぁ)、設定は、
繁栄を築き上げた人類は突如出現した“天敵”「巨人」により滅亡の淵に立たされた。生き残った人類は、三重に築かれた「ウォール・マリア」、「ウォール・ローゼ」、「ウォール・シーナ」という巨大な城壁の内側に生活圏を確保することで、辛うじてその命脈を保っていた。城壁による平和を得てから約100年後。いつしか人類は巨人の脅威を忘れ、平和な日々の生活に埋没していた。(進撃の巨人 - Wikipedia)そんなある日、壁を超える超大型の巨人が現れて壁が破られて...というお話。
巨人が人間を捕食するシーンはかなりグロいのだけど、そのグロさ以前に、「同じ形で大きい」という事自体がとっても気持ち悪い。一昨年に見たロン・ミュエク(Ron Mueck)の作品を思い出す。
巨大な壁に囲まれた空間で暮らす人々、という設定が、現代社会の閉塞感を見事に反映してて、「巨人」や「壁」が何を隠喩するのか、想像をかきたてられるとてもおもしろい漫画だ。
ちょっとググってみると、読者によっていろんな読み方があって、巨人はグローバル資本主義社会の巨大企業のメタファーだ、壁は格差社会の階層間にある壁の象徴だ、巨人は米国の隠喩だ、巨人は環境汚染や核兵器といった人間のコントロールを超えてしまった人工物の比喩だ、などなど、確かにそう読める。
作者は本人のブログで、
西洋諸国に根付く考え、と書いていて、確かにそうも読める。
神、秩序、体勢、に従う事への恐怖や抵抗感、
人間の根源的な自由意志、
「奴隷の幸福か、地獄の自由か」ってヤツです、
前者が、現状に満足して壁の中で日常を過ごす人々、
後者が、現状に不満を懐き命を懸けて自由を求める人々、
かっこいいのは言うまでも無く後者、
つまり、この漫画で言う神様ってのは巨人のことです
で、僕にはどう読めたかというと、「巨人」は心の暗部、いつも目を背けている自分の中の無知、愚鈍、貪欲、邪悪、不安、そういう心の奥底にしまって蓋をして見ないようにしている巨大なドロドロした感情の隠喩。そして「壁」はそのドロドロを隠している蓋のように思える。今12巻まで読んでて、これから巨人や壁の謎が解かれていくのだけど、続きを読むのが本当に楽しみ。