@IntentionalPeer

Intentional Peer Supportに関する質的研究」という研究があり、一部はシロシベのお仕事として、一部は個人的な興味に基づいて、お手伝いさせていただいています。いろいろ考えさせられるので、今の時点で思うことをメモしておきます。

このIPSというのは「ピアサポート」という名前がついてはいるものの、援助方法や制度などの話ではなく、対人関係のあり方や考え方といった思想や哲学を指すものです。関係性に関する哲学、みたいなものです。もっと言ってしまうと、「IPSの文化」みたいなものがあるようにも見えます。

IPSは、シェリー・ミード(Shery Mead)さんという方が提唱されたもので、世界中で研修プログラムを行っておられ、日本でも過去に数回ご本人がいらして研修を実施されています。さらにその研修を受けた方が勉強会を開催され、といった感じで広がったり深まったりしているものです。

それで、僕の身近な場所にこの研修に参加されたが何人かいて、出た方の感想を聞くと、「深い!」とか「すごく考えさせられる」とか「生まれ変わったような気がする」という言葉さえ出てくるのですが、何がどうなっているのか今ひとつ分かりません。ま、簡単に説明できたら研修も研究も必要ないわけですが。

で、IPSの4つのタスクというのがあって、

  • connection つながり
  • worldview 世界観
  • mutual responsibility 相互の責任
  • moving towards ~に向かうこと

もちろんこの言葉を見ただけではよく分からないのですが、直感的に重要なことが語られているような気はします。

もともとは、精神疾患を持つ人々のピアサポートであったり、リカバリー、さらに当事者運動、反精神医学運動といった歴史にIPSのルーツを見出すことができるようです。この精神疾患にまつわる歴史というのは、疾患自体の分かりにくさに加えて、差別や偏見といった語られにくい要素をはらんでいることもあり、とにかくややこしいもので、IPSはこのややこしい歴史の中に端緒をもつ思想です。

で、何が言いたいかというと、IPSの研修参加者の反応やこぼれ聞こえる言葉、生まれてきた背景などを眺めると、きっとこのIPSの文化の中には、今の時代に強く求められている深い洞察というか、思想の原石のようなものがあるに違いない、というふうに直感するわけです。

それで研究の話です。「研修の効果評価」という研究であれば研修の目的を明確に言語化して、研修の内容を客観的に記述する仕組みを作って、結果を測る心理測定尺度などを目的に合わせて探すなり作ったりして、コントロール群をおいて前後調査、フォローアップ調査、なんてことが広く行われる手法かと思いますが、このような仮説検証型、量的研究はこのIPS研究には適していないように思われます。

で、このIPSとは何なのか、インタビューを通して質的に分析して記述する、エスノグラフィックにどうこうする、研究者と当事者が共同で取り組むアクションリサーチ、そのあたりの手法がしっくりきそうですが、どのあたりがよいのだろうか、ということを考えたりするわけです。ときどきですが。

そうそう、エスノグラフィで思い出しましたが、中原淳さんの説明の仕方が素敵です。中原さんのtwitterも素敵です。

(エスノグラフィとは)レトリカルにいうのなら、人々の「語り」を縦糸に、筆者が観察した「出来事」を横糸にしたテクスト空間として位置づけられます。その際に、筆者は「対話」によって、「語り」を生み出すことを支援し、また出来事を観察し、記述することを行うのです(このページでもっと読めます


で、僕がこの研究に思うことは、この研究手法を検討する段階から、研修の参加者が参加する形の研究が良いのではないか、と思うんです。で、この研究のウェブサイトを作らせてもらって、「流行ってるし面白いんじゃないですか?」という感じでご提案させていただいたtwitterなんですが、このような参加型の研究にとっては思いのほか便利で、研究手法からパブリックな場所でああでもないこうでもない、なんてことが低コストで可能になって、しかも10年前にはできなかったことだし、なんというかとてもワクワクするわけです。

というわけで、関係ある人もない人も、@IntentionalPeer をフォローして、話しかけるといいと思う、という話です。

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