各種デジタルネイティブな言葉の特徴
言葉が生まれる場所はいろいろあります。
言葉を分析する研究では、それらの言葉の生まれる場所、生み出され方に配慮して、それぞれの特性を生かした分析が求められます。言葉を生み出す方法で最もよく用いられる手法の一つがインタビューですが、インタビューにもいろいろあって、個別インタビュー、グループインタビュー、質問を事前にきっちり決めて行う構造化インタビュー、きめない非構造化インタビュー、その中間の半構造化インタビュー、いろいろあります。
口頭でのインタビュー以外にも、質問紙を用いて出てくる書き言葉が分析されたり、メールの文章が分析されたりします。これらは調査者が質問を投げかけ、それによって出てきた言葉、引き出された言葉です。他には、匿名掲示板の言葉だったり、新聞記事、カルテ記録といった既存資料の言葉、特定の状況を観察して拾われる言葉など、研究者がいようがいまいが生まれる自然発生的な言葉が分析されることもあります。まあ、たいがいの言葉は分析され得ます。
最近だと、IBM SPSS Statistics ~twitter 分析モデル~なんてのもあるくらいで、きっと twitter の分析もいろんなところで行われてるんですよね。あと、「米国議会図書館がTwitterの全ログを保存」なんてニュースもありましたが、これも「許可された研究者にのみセットで提供する」という方針からも明らかなように将来分析されることを想定しての保存です。どう使えるか分からないけどとにかく保存し始める、みたいな柔軟な決断、素敵ですね。
さて、言葉が生まれる場所はそこらじゅうにあるわけですが、大別すると、口から出てくる話し言葉と指先から出てくる書き言葉の2種類があります。手話もあるか。手話は手を使うけど話し言葉に近いのかな...。
基本的に書き言葉は話し言葉よりも考える時間が長いので、理路整然としたり、無駄な情報が少なかったり、深いところから言葉が出たりすると思うのですが、一方で、余計なことを配慮する時間もたっぷりあるので、嘘がつきやすかったり、相手の意図を汲み取りすぎたり、社会的望ましさが高い回答に偏ったり、素直で反射的な感情が出ない傾向があると思います。あと、付随する非言語的な情報が異なります。話し言葉では表情やしぐさ、視線などなどたくさんあり、一方で、書き言葉では筆跡や筆圧などに限定されます。
で、指先から生まれる書き言葉ですが、ペン経由とキーボード経由があります。今日は、昨今ますます存在感を大きくしているキーボード経由で電子化された状態で生まれる言葉、デジタルネイティブの言葉について考えます。デジタルな言葉は筆跡すらなく非言語的な情報がゼロに近い言葉です。一方で、厳密なタイムスタンプやジオタグといった従来にはなかった付加情報があります。で、デジタルネイティブな言葉にもいろいろ種類があるのですが、今日は、メール、メーリングリスト(ML)、匿名掲示板の2ch、SNSのmixi、ブログ、ツイッター、それぞれで生まれる言葉を分析するとしたら、ということでそれぞれの特徴を考えます。
メール。筆者も読者も特定される会話で、質問とそれへの回答がメインで、環境が閉じているのでぶっちゃけやすく、話し言葉で言うと、密室での個別インタビューのような感じが近いでしょうか。この中では質問者の影響が最も大きいと思われます。
メーリングリスト。筆者も読者もほぼ特定されるけど、相手が多数。でも閉じてはいるので、グループインタビュー的。ファシリテーターがいないと回りにくい、声の大きい人の声が強調される、少数意見が出にくい、なんてあたりも似ています。あと、普通のメールに比べて質問者が意図しない話題が出やすくもあります。
匿名掲示板。公衆便所の落書きに例えられたりしますが、公の場所で筆者も読者も不特定。コントロールが不能なので、ノイズが大きく、事実に関する信憑性はないのですが、社会的望ましさからは解放されるので、目的にフィットすれば有用なのかもしれません。
ブログ。これは何でしょうか...。読者は不特定多数で、実名であろうがハンドルネームであろうがブログには1つの人格のようなものが宿るので、筆者は半特定、って感じでしょうか。実社会でこういう場所、なんだろ...。日記でもあり出版物でもあり...。読者が特定できないので特定の相手への配慮はなくなるけど公への配慮はある、みたいな感じです。あと、基本的に独り言なので、質問したりして情報を引き出す、っていうことはあまりできません。調査者の影響が小さく、独り言性は最も大きいでしょうか。
SNS。ブログと似てはいるけど、読者がある程度特定できて、筆者もほぼ特定されている場所なので、ブログよりも特定の相手への配慮が大きく、公への配慮は小さいですね。SNSでの調査は、サークルとか教室といった規模のコニュニティでの参与観察みたいな感じになるのかなぁ。
Twitter。なんだろうかこれ...。入れ替り立ち替り人が出入する居酒屋での観察、みたいな感じでしょうか。大声出して意見を求めることもできるし、黙って見てることもできるし、参加してるかしてないかの境界が曖昧。ブログと同様に読者を特定できないけど、@返信で相手を意識した言葉も出てきますね。フォローの機能はSNS的で自分の特定具合はSNSと同程度かな。
図にまとめると、
こんなかな。いい加減だなぁ。でも、まあ、こんな感じなんじゃないでしょうか。上ほど筆者がはっきり特定され、右ほど独り言チック、という図です。対話には研究者の意図が入りやすく、独り言には意図が入りにくいですね。筆者の特定され具合と読者の特定され具合は別々の問題で、バランスの違いで話す内容違いそうでよね。
ちょっときりがないのでもうやめます...。
言葉を分析する研究では、それらの言葉の生まれる場所、生み出され方に配慮して、それぞれの特性を生かした分析が求められます。言葉を生み出す方法で最もよく用いられる手法の一つがインタビューですが、インタビューにもいろいろあって、個別インタビュー、グループインタビュー、質問を事前にきっちり決めて行う構造化インタビュー、きめない非構造化インタビュー、その中間の半構造化インタビュー、いろいろあります。
口頭でのインタビュー以外にも、質問紙を用いて出てくる書き言葉が分析されたり、メールの文章が分析されたりします。これらは調査者が質問を投げかけ、それによって出てきた言葉、引き出された言葉です。他には、匿名掲示板の言葉だったり、新聞記事、カルテ記録といった既存資料の言葉、特定の状況を観察して拾われる言葉など、研究者がいようがいまいが生まれる自然発生的な言葉が分析されることもあります。まあ、たいがいの言葉は分析され得ます。
最近だと、IBM SPSS Statistics ~twitter 分析モデル~なんてのもあるくらいで、きっと twitter の分析もいろんなところで行われてるんですよね。あと、「米国議会図書館がTwitterの全ログを保存」なんてニュースもありましたが、これも「許可された研究者にのみセットで提供する」という方針からも明らかなように将来分析されることを想定しての保存です。どう使えるか分からないけどとにかく保存し始める、みたいな柔軟な決断、素敵ですね。
さて、言葉が生まれる場所はそこらじゅうにあるわけですが、大別すると、口から出てくる話し言葉と指先から出てくる書き言葉の2種類があります。手話もあるか。手話は手を使うけど話し言葉に近いのかな...。
基本的に書き言葉は話し言葉よりも考える時間が長いので、理路整然としたり、無駄な情報が少なかったり、深いところから言葉が出たりすると思うのですが、一方で、余計なことを配慮する時間もたっぷりあるので、嘘がつきやすかったり、相手の意図を汲み取りすぎたり、社会的望ましさが高い回答に偏ったり、素直で反射的な感情が出ない傾向があると思います。あと、付随する非言語的な情報が異なります。話し言葉では表情やしぐさ、視線などなどたくさんあり、一方で、書き言葉では筆跡や筆圧などに限定されます。
で、指先から生まれる書き言葉ですが、ペン経由とキーボード経由があります。今日は、昨今ますます存在感を大きくしているキーボード経由で電子化された状態で生まれる言葉、デジタルネイティブの言葉について考えます。デジタルな言葉は筆跡すらなく非言語的な情報がゼロに近い言葉です。一方で、厳密なタイムスタンプやジオタグといった従来にはなかった付加情報があります。で、デジタルネイティブな言葉にもいろいろ種類があるのですが、今日は、メール、メーリングリスト(ML)、匿名掲示板の2ch、SNSのmixi、ブログ、ツイッター、それぞれで生まれる言葉を分析するとしたら、ということでそれぞれの特徴を考えます。
メール。筆者も読者も特定される会話で、質問とそれへの回答がメインで、環境が閉じているのでぶっちゃけやすく、話し言葉で言うと、密室での個別インタビューのような感じが近いでしょうか。この中では質問者の影響が最も大きいと思われます。
メーリングリスト。筆者も読者もほぼ特定されるけど、相手が多数。でも閉じてはいるので、グループインタビュー的。ファシリテーターがいないと回りにくい、声の大きい人の声が強調される、少数意見が出にくい、なんてあたりも似ています。あと、普通のメールに比べて質問者が意図しない話題が出やすくもあります。
匿名掲示板。公衆便所の落書きに例えられたりしますが、公の場所で筆者も読者も不特定。コントロールが不能なので、ノイズが大きく、事実に関する信憑性はないのですが、社会的望ましさからは解放されるので、目的にフィットすれば有用なのかもしれません。
ブログ。これは何でしょうか...。読者は不特定多数で、実名であろうがハンドルネームであろうがブログには1つの人格のようなものが宿るので、筆者は半特定、って感じでしょうか。実社会でこういう場所、なんだろ...。日記でもあり出版物でもあり...。読者が特定できないので特定の相手への配慮はなくなるけど公への配慮はある、みたいな感じです。あと、基本的に独り言なので、質問したりして情報を引き出す、っていうことはあまりできません。調査者の影響が小さく、独り言性は最も大きいでしょうか。
SNS。ブログと似てはいるけど、読者がある程度特定できて、筆者もほぼ特定されている場所なので、ブログよりも特定の相手への配慮が大きく、公への配慮は小さいですね。SNSでの調査は、サークルとか教室といった規模のコニュニティでの参与観察みたいな感じになるのかなぁ。
Twitter。なんだろうかこれ...。入れ替り立ち替り人が出入する居酒屋での観察、みたいな感じでしょうか。大声出して意見を求めることもできるし、黙って見てることもできるし、参加してるかしてないかの境界が曖昧。ブログと同様に読者を特定できないけど、@返信で相手を意識した言葉も出てきますね。フォローの機能はSNS的で自分の特定具合はSNSと同程度かな。
図にまとめると、
こんなかな。いい加減だなぁ。でも、まあ、こんな感じなんじゃないでしょうか。上ほど筆者がはっきり特定され、右ほど独り言チック、という図です。対話には研究者の意図が入りやすく、独り言には意図が入りにくいですね。筆者の特定され具合と読者の特定され具合は別々の問題で、バランスの違いで話す内容違いそうでよね。
ちょっときりがないのでもうやめます...。