CAQDASについてシルバーマンはかく語りき

とある勉強会で David Silverman の Doing Qualitative Research を読んでいます。今日担当させていただいたのが、第14章の「Using Computers to Analyze Qualitative Data」でした。そのメモです。

第14章の目的
  • 質的データ分析におけるコンピュータ使用の利点と限界を理解する
  • 主なCAQDAS製品の特徴を知る
  • 各CAQDASの詳細を知り、研究プロジェクトに対する利便性を評価する

14.1 イントロダクション
テキスト内容分析でのコンピュータ使用は人文科学の領域で1960年代から人気に。社会科学では80年代初頭から。質的分析では統計分析に比べ、コンピュータの高い性能を必要とすることや心理的抵抗が大きかったことなどから普及が遅れた。

14.2 CAQDASで何ができるか
主なソフト(メインストリームとしてはNVivo、MAXQDA、ATLAS.ti)でできることの概観。テキストデータのみならず、画像や音声、動画を扱えるソフトも。共通してできることは、検索、クエリ検索、コーディング、コードの検索や検索結果のエクスポートなど。また、基礎属性データをテキストに添付するなどの機能もある。さらに、メモの添付、統計データとの連携、作図機能などがある場合も。

14.3 CAQDASの長所
主に3点ある。
  1. 速い。大規模なデータを扱う場合に特に。300時間200万語のデータを分析し、セッション中に特定の単語が高い頻度で出現した場合に、そのセッションへの参加者の評価が高かったことが明らかに、といった研究の紹介。
  2. 厳密。出現頻度などを数える場合、統計データと一緒に分析する場合など特に。また、属性ごとに引用を分類して比較、といったことも容易で厳密。
  3. 共有。チーム内でのコーディングの共有が容易。コードと原文のあいだをいったりきたり、も容易。

14.4 限界と短所
主に3点ある。
  1. ワープロと一緒? 多くの作業はMS Word でもできてしまう。ただ、コーディング部分をエクスポート、数えてエクスポートといった機能は、Wordではマクロを使う必要があり時間がかかる。
  2. 分析がせまくなる? CAQDAS使える分析手法が限られている。Formal structure of narrativesの分析などはサポートされていない。分析の手順に応じてソフトを探す、既存ソフトで工夫するなどの必要性。
  3. 小さなデータでは役に立たない? 議論の余地なく、小さなデータではCAQDASの利点がない。
ナラティブデータ分析に特化されたETHNO、対話分析に便利なCode-A-Textなどのソフトもある。

14.5 CAQDASで理論構築
理論構築(理論の生成と検証)は頭の中で行われる。CAQDASはこれを支援する。CAQDASはコードやデータにリンクされた概念図を描くことができる。GlaserとStraussのThe Social Loss of Dying Patients (1964)の時代にCAQDASがあったことを想像してみよう(省略)。CAQDASは理論の生成と検証に役立つ。

14.6 キーワード分析
コンピュータの性能の向上にともない、大きなデータが扱えるより登場した分析手法。たとえば、前立腺がん患者と乳がん患者へのインタビュー、97人730000語のデータで単語の出現頻度を男女間で比較すると、男性の方で統計的に有意に多かったのが、wife, he, men,…などの9語、女性で多かったのがI, she, everybody, mother, friends,… などの31語。つまり、女性の方が考えないといけないことが多い。この分析に5分もかからない。WordSmith Tools が代表的なツール、フリーソフトでは AntConc

14.7 まとめ
省略。

Key Points
  • CAQDASを使うことで大量のデータでもソートや検索などの作業の時間が短縮でき、考えることに時間を使える。
  • より厳密に分析できる部分もある。しかし、研究者を特定の質的分析手法にしばりつけるものではない。
  • CAQDASは研究者のために考えてはくれない。
  • コーディング、検索、抽出がCAQDASの主な機能であるが、理論構築のための機能やキーワード分析といった革新的な手法からも目が離せない。

感想も書こうと思ってたけど今日は省略。

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