Website is dead

 最近、ところどころで「ブラウザーの死」や「ウェブサイトの死」が語られている。いずれも、iPhoneアプリやiPadアプリのような個々のアプリの広まりによって、われわれはもうウェブサイトを訪ねたり、そもそもブラウザーを使ったりする必要がなくなってしまったのではないのか、という議論だ。


というわけで、tamakisono.jp をリニューアルした理由についてのメモです。上の記事に書かれていることを最近よく感じています。ウェブサイトやブラウザがすぐになくなることはないと思うのですが、確かに、ウェブサイトを作ってても、このサイトを作ることにどんな意味があるのか、というのはとても悩みます。

伝えたい言葉あるならブログに書いた方が静的なHTMLよりもよほど伝播力があるしメンテナンスもアーカイブ化も簡単です。写真を見せたいならFlickrなどの写真共有サイトにアップすれば、いちいちリサイズしなくても自動的に6種類のサイズの画像を作ってくれて、EXIFデータも可視化して、RSSをはいてくれて、タグ付け、ソート、Flashのスライドショー...、手作りでやったら大変な作業を自動的にやってくれます。動画も、自分でFlashのプレーヤーを作るのが大変ですが、というか僕にはできませんが、YouTubeなどの動画共有サイトはアップするだけでFlashにしてEmbedコードを作ってくれます。餅は餅屋、ウェブサイトを構成する要素はいちいち全部手作りするよりも、専用のウェブサービスを使う方が、安くて早いだけでなくて、はるかに高機能です。

あと重要なのは、日々変化するウェブの世界へのキャッチアップが、手作りサイトだと到底追い付かないことです。たとえばいまどきの先進的なウェブサイトでは、ブラウザからのアクセスにはブラウザ用、iPhoneからのアクセスにはiPhone用のレイアウト、なんて感じで複数のレイアウトを閲覧環境に合わせて表示させるわけですが、これも手作りサイトだったら、手間的には複数のサイトを作る作業が必要になるわけで、さらに、iPhone用にはiPhone用の作法があって、いちいち勉強しないといけないんですね。これが、ブログもFlickrもYouTubeも、その手の大きなサイトはどこよりも早く対応してくれて、コンテンツの所持者は何もしなくていいんですね。今後、iPhoneやiPadに限らず、いろんなデバイスが登場し、PCのブラウザ経由っていう経路以外でネットに触れる機会はどんどん増えていきます。ものすごい勢いで新しいものが登場して消えていきます。追いつこうという気持ちにすらなりません。

で、独自ドメインをとって、自作のサイトを作る意味について考えてみると...、大してないと思うんです。あるとしたら、自由なデザインができることと、独自ドメインであることの信頼感(会社の電話番号が携帯の番号だったらちょっと胡散臭い、みたいな感じで、会社のサイトのブログのURLだとちょっと...)っていうことだけだと思うんです。あと、ブログやFlickrでは、コンテンツを特定の企業に預けてしまうことになるのですが、これも自前のサーバーに自作サイトを作るのでなければ一緒です。

ウェブサイトは目的に応じて使用する色んなウェブサービスをまとめる場所、であればいいと思うんです。ブランディングが重要なサイト、数千万かけて作るようなサイト、そういう場合は違うかもしれませんが、ただ情報を発信する、共有する、コニュニケーションする、このあたりが目的のサイトであれば、手作り部分をできるだけ小さくして、外部のウェブサービスを使う、というのがいいんじゃないかと思います。

ここで思い出したのが「Google が考えるよりよいユーザー体験」という記事ですが、

  • より早く - ページの表示速度だけでなく、タスクを達成させるための手軽さも含まれる
  • 自分らしく - ちょっとしたことでも良いので個性をもたせる
  • 対話に参加する - 人間らしく切実かつ謙虚に反応をする
  • コントロールを失うことを恐れない - 何でも自家製にするのではなく、サードパーティの技術も積極的に利用
  • 礼儀正しく - 出始めの敷居を低くしたり、何か問題が起こったときに回避しやすくする
  • 失敗に備える - 失敗やミスは必ず起こるし思いがけないときにおこる
  • 信頼性を保つ - スピードにも関わる重要な要素

Google が考えるよりよいユーザー体験とは : could


これって、小さなウェブサイトでも当てはまることで、「何でも自家製にするのではなく、サードパーティの技術も積極的に利用」っていうのがここで言いたいことです。もちろんGoogleが言う「自家製」と小さな組織や個人のサイトでいう「自家製」、全然意味が違いますが、本質的には同じことです。

ウェブサイトを建物に例えると、ドメイン(URL)が住所、サーバが土地です。独自ドメインが1戸建て住所、レンタルサーバーは借地でしょうか。「全て自作する」っていうのは、エアコンや水道の蛇口、壁紙、タイル、全部自分で作ることに相当します。美術館や病院や寺院...、特殊な建物ならそこもオーダーメイドなのかもしれませんが、普通の建築では既製品を使います。ウェブサイトを作るときに、安く高機能でメンテナンスが簡単なサイトを作りたいなら、サードパーティを積極的に使うべきだと思います。

というわけで、何のことかよくわからなくなってきてるので、それがつまりどういうことか、というのを形にしたのが新しい tamakisono.jp です。これについてはまた別エントリーで解説します。

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