布袍
こんにちは。
昨日から教師検定講習会というものに参加しています。教師というのは僧侶の規範となる僧侶、みたいなことだそうで、下世話な言い方をすると「住職資格」的なものです。教師になるための修礼(しゅらい)という合宿研修のようなものがあるのですが、その修礼に参加するための講習会です。この講習会の最後に試験があって、試験に合格すると修礼に参加できるんだそうです。現代的でシステマティック。
で、初日のプログラムは「基幹運動」と「勤式作法(ごんしきさほう)」です。
午前のコマは「基幹運動」です。基幹運動というのは、浄土真宗の宗制を実現していく運動のことだそうで、宗制というのは国でいうところの憲法に相当するものだそう。午前中の講義は、そのような文章が作られた背景とその変遷について。講師は、広島の山間部の過疎の村(65歳以上が人口の60%!)のお寺の住職です。最初に宗制が制定されたのが1886年(明治19年)と意外と新しくって、明治政府とのいろんな交渉の中で、それまで政府のコントロールの外にあった各教団が文部省の管轄におさまることになって、その際にそれぞれ宗派の宗旨の明文化が必要になって制定されたんだそうです。その後の政治の動き、特に戦争へ向かう動きに抗ったり流されたりしつつ、宗制の改正が繰り返されてきたんだそうです。教義と教団運営の間の葛藤とか、教義と実生活の折り合い、変えていくべきところと変えちゃいけないところ、僕自身の個人的な葛藤とも重なることが多く面白かったです。そもそも教義って何よ、って話ですが、これは日を改めて。
午後は「勤式作法(ごんしきさほう)」です。お作法です。歩き方、立ち方、座り方、服装、お経の読み方、鐘の鳴らし方、仏壇の中の物の名前とその配置、各種法要などなどについてです。「これ試験に出ます」っていう台詞、久しぶりに聞きました。たとえばどんなのが出るかというと、「蹲踞(そんこ)の姿勢は、正座の状態から両足の踵を上げた状態で...」「散華(さんげ)とは華籠(けろう)の中の華葩(けは)を右前方に散らす作法で...」とか「礼装第一種は、色衣(しきえ)、七条袈裟(しちじょうげさ)、僧綱板(そうごうばん)、切袴(きりばかま)・・・」とかとか。変換しても出てこない漢字がいっぱいで面倒なのでもうやめますが、「説明できて漢字で書けるようにしておいてくださいね。」とのこと。うふふ。
でまあ、上の写真の服、布袍(ふほう)っていうんですけども、昨日はほぼ一日これを着て過ごしたわけです。そんな中、シロシベのお仕事はやっぱりあって、電話がかかってきたりもするんです。で、この服装のまんま電話するんです。「お世話になっております~。...口座番号はすぐにメールしますね。...宛名はシロシベでお願いします。...」なんて話を。煙草を吸いながら。iPhoneで。まあ何というか、やっちゃダメなことは何もしてないわけですが、洋服を着ているときには感じない違和感があります。帰りの電車もこの服装のまま乗りました。場所が京都ということもあり注目を浴びるということはないのですが、かといって、見られていないわけでもない妙な緊張感があってヘトヘトに疲れました。普段は壁にもたれてグデ~っとしているわけですが、そういう姿勢にもなれず背筋を伸ばしっぱなし、席が空いても座りにくく、電車が揺れてもよろけちゃいけない、...別にそんなルールはないわけですが、なぜかそうなってしまいます。これから電車は洋服で乗ることにします。
この講習会、11月24日まで続きます。2日目は「真宗教義・三経七祖」です。