松田タクシ一

松田タクシ一
一見「松田タクシー」に見えるけど、よく見ると「松田タクシ一」。「ー(長音符)」と「一(いち)」は似てるけど違います。全角だけでも「‐(ハイフン)」とか「―(ダッシュ)」とか「-(マイナス)」とかいろいろあります。注意してください。気になって仕方ありません。

というわけで、研修4日目「宗教概説」です。

宗教を扱う学問にはいろいろあります。特定の一宗教を対象にして信者の立場から研究し、その成果を実際の生活に生かそうとする志向をもつ神学的研究、特定の宗教を信じるという立場ではなく理性的・批判的に宗教を思弁する哲学的研究、客観的に科学的に宗教を理解しようとする宗教史学、宗教心理学、宗教社会学、宗教民俗学、宗教現象学...、まあ、いろいろあるようです。

そうそう、昨日と一昨日に受講した教義に関する講義、「なんでこんなにスッキリしないかぁ」と思っていたのですが、あれは神学的アプローチの研究成果なんですね。今日の講師の先生は、これを「こてこての真宗学」と呼ぶんですが、こてこての真宗学では、浄土真宗の僧侶が僧侶として研究するんですね。だから「親鸞の●●という言葉は...」とは言わずに「宗祖の●●というお言葉を味わせてもらうと...」なんて言い方をするんですね。内容には無批判で。それがすごく大きな違和感だったんだなぁ、と思ってすっきりしました。神学ってどういう学問なんだろう、って思ってましたが、ちょっと意味が分かったような気がします。宗教の内側から宗教を見る学問、っていうのかな。非科学的ではありますが、とても大事なことですね。宗教に限らず内側に入らないと見えないことってありますもんね。

で、宗教の定義、これも古くからいろんな人がいろいろ言ってて、
無限なるものを認知する心の能力(マックス・ミュラー)
有限者の精神が無限の神的精神を了知する過程(ヘーゲル)
敬虔と呼ぶ心の状態(ティーレ)
ひたすらなる依存感情(シュライエルマッハー)
道徳的義務を神命として承認することである(カント)

知性としての宗教、情緒としての宗教、意思としての宗教、いろいろです。

ちなみに、「宗教」という日本語は「Religion」の訳語として明治時代に作られた言葉で、Religion の語源はラテン語の Religio、これは超自然的な事物に接した時の畏怖や不安といった感情、その感情をひきおこす対象やそれへの儀礼を表す言葉。その語源についてはローマ時代から二説あって、ligare(結ぶ)が由来とする説と relegendo(整頓)を由来とする説。前者では「神と人の結びつき」が原意であるとされ、後者では「厳粛な儀礼」が原意とされる。だそうです。どっちもそれっぽいですね。

宗教の起源について、古くは、神の存在を証明しようとする試みと、起源を人間の本能(宗教的本能)に求めようとする試みがあり、前者が神学的・哲学的研究の流れに、後者が自然科学的な宗教研究の流れにつながって展開されていったそうです。様々な研究の蓄積で、世界には様々な宗教があること、崇拝される神々は多様で、そもそも神をたてない宗教もあったり、歴史的には新しい神が生まれたり、古来信じられてきた神が信じられなくなったり、なんてことが明らかになり、宗教の起源や存在理由を人間の内側に求める研究が主流になります。

宗教の起源として、タイラーはアニミズムに起源を求め、スペンサーは祖先崇拝、フレーザーは呪術、フロイトはエディプスコンプレックス、ユングは集合的無意識、なんて具合です。現代では宗教の起源を求める研究は多くはなく、宗教現象そのものをいかに適切に記述するか、といった方向に努力が注がれている、とのこと。ふうん。

で「新しい神が生まれたり」ですが、多くの宗教が生まれる時期とそうでない時期、多くの宗教が生まれる社会とそうでない社会があって、日本の場合、多くの宗教が生まれた時期が今までに3回あったんですって。平安末期から鎌倉時代、江戸末期から明治時代、第二次大戦直後、なんだそうです。激動の時代に神が生まれるんですね。あと、往々にして教祖は迫害されるんですね。ま、どこの世界でも新しいことをする人はそうか。

で、宗教の分類の仕方もいろいろあって、「物的宗教/人的宗教/心的宗教」とか「自然宗教/倫理的宗教」とか「すくい型/悟り型/つながり型」とかとか。今日の講義では、広く用いられている「原始宗教/民族宗教/世界宗教」の順で紹介されます。

原始宗教として、アニミズム(Animism)、マナイズム(Manaism)、トーテミズム(Totemism)、シャマニズム(Shamanism)、フェティシズム(Fetishism)、ナチュリズム(Naturism)などの紹介。教祖や経典、組織を持たず、社会制度や生活習慣などと密接不可分な領域が大きく、またそれぞれの形態は混ざり合っていたり、なんて感じが原始宗教の特徴。

民族宗教として、ゾロアスター教(Zoroastrianism)、ユダヤ教(Judaism)、道教・儒教(Taoism/Confucianism)、ヒンドゥー教(Hinduism)などの紹介。たとえば、ヒンズー教はインドを中心に10億人近い信者を擁する宗教であるにもかかわらず、教団組織を持たず、布教は行わず、信仰形態がとても複雑多様で、一神教的信仰から高度な哲学体系、アニミズム、呪術まで包含し、体系的な教義を持たず、カースト制をはじめとする社会制度や様々な生活習慣と混ざり合ってて、そのぼんやりとした総体がヒンズー教、なので民族宗教と呼ぶべきか微妙な感じなんですね。儒教は宗教かどうかも議論が分かれる感じですね。

で、世界宗教として、キリスト教、イスラム教、仏教。このあたりは高校の社会の授業みたいな感じです。聞けば聞くほど宗教って何なのかよくわかんなくなります。

最後に日本のいろんな宗教の話、神道系、仏教系、キリスト教系、近代以降に始まった天理教、金光教、大本、霊友会、創価学会、幸福の科学、オウム真理教などなど、ざ~っと紹介されました。

日本に古来からある農耕儀礼、祖先崇拝、アニミズムなどの名残りに加え、神道の組織化、仏教、キリスト教、儒教の伝来などなど紆余曲折を経て、現在の日本の宗教法人の数は18万(!)、信者数を全部足し合わせると約2億人。ふふ。「今後、皆様はいろんな宗教の人とお話しする機会があると思います。知っておいてください。」とのこと。

明日は「真宗史」、浄土真宗の歴史についてです。ふぅ。

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